第三者意見

千葉大学大学院
人文社会科学研究科教授
倉阪 秀史 氏   

1964年、三重県伊賀市生まれ。1987東京大学経済学部卒業。同年、環境庁入庁。地球温暖化対策、リサイクル、企業の環境対策、環境基本法、環境影響評価法の制定等の施策に携わる。 メリーランド大学客員研究員等を経て、現職。著書に、『環境を守るほど経済は発展する』(朝日選書、2001年)、『環境政策論』(信山社、2004年)、『地域主導のエネルギー革命』(編著:本の泉社、2012年)、『政策・合意形成入門』(勁草書房、2012年)。




タムラグループのCSR報告書について第三者意見を述べさせていただきます。

創業90年の歴史を持つタムラグループにおいては、2015年度を最終年度とする“Biltrite Tamura”と題する中期経営計画に掲げる「立派な製品を作る」「健全な経営体質を作る」「最適なグローバル体制を作る」という三つの取り組みに沿って経営を進めています。タムラグループのCSRの取り組みは、これらの経営計画のそれぞれに密接に関連付けられています。

「立派な製品を作る」という取り組みには、単なる顧客満足にとどまることなく、製品を通じた社会貢献という考え方が盛り込まれています。企業報告の部分に記載されているように、省エネ・創エネに貢献する製品群を数多く市場に提供しています。「健全な経営体質を作る」においては利益重視が謳われていますが、単なる利益重視ではなく、環境負荷を削減しつつ行われる利益重視であることが特徴です。「最適なグローバル体制を作る」ために、事業所などの海外展開をすすめるのみならず、グローバル企業に求められるべきマネジメントの質の確保も合わせて進められています。

そして、それぞれの項目について、毎年目標を掲げ、その実施状況をCSR報告書として取りまとめています。製品を通じた社会貢献と環境負荷削減については、環境貢献製品の売上比率、環境負荷物質の削減、電気使用量の削減という3項目の数値目標を掲げています。マネジメントの質の確保という観点では、国連のグローバル・コンパクトに参加してグローバル企業としての標準的な管理項目を導入することを宣言し、コンプライアンス、危機管理、情報管理、人権・労働といった側面も含めて、管理体制・研修体制を構築し、実行されています。さまざまなCSR報告書の中には、たんなる社会貢献活動を列記するだけにとどまっているものもありますが、タムラグループの報告書は、本業の経営計画の視野と一致している点で高く評価できます。

今年の報告書では、一般環境貢献製品の売上比率、環境負荷物質の削減、電気使用量の削減といった目標を達成できなかったことが報告されています。昨年の報告書では、これらすべてが達成されており、今年は、昨年に比べてさらに高い目標を掲げた結果、わずかに達成できなかったということになります。目標設定されていない排水量や再資源化量の数値は継続的に改善しており、電気使用量も総量では微減に転じたので、環境経営が退化したわけではないと思いますが、報告書において未達成の理由を具体的に述べ、次年度に向けた改善方針を付記したほうがわかりやすいと思いました。

タムラグループが、さらに環境・CSR経営を進め自ら定めた目標を達成するとともに、他の日本企業の範となるようなCSR報告書を継続的に公表していかれることを期待します。




■第三者意見を受けて

専門家としてのお立場から、今回も倉阪秀史教授より貴重なご意見を頂戴いたしました。

昨年ご指摘いただいた、CSR取り組み分野別の達成率について自己評価の根拠が判り難いという点につきましては、注記や参照ページを示す工夫を致しました。また、環境報告の分野において、電気使用量や化石燃料使用量などが総量ベースで増加している点につきましても、多くの環境指標で減少に転ずることができました。

今回も、CSRの取り組みが中期経営計画で掲げる3つの経営目標とリンクし、本業の経営計画の視野と一致している、とのご評価を賜り、喜ばしく思っております。今後も経営理念・方針と密着したCSR活動をグループ一丸となって推進してまいる所存です。

ご指摘いただいた環境目標がいずれも未達成に終わったこと、またそれに対する具体的な理由の説明と次年度へ向けた方針の表明が不足している点につきましては、次年度の課題として改善を図り、さらにわかりやすく明瞭な報告書作りに活かしてまいります。

CSR推進本部
岡本 恭一
TOP